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たとえば、上野で国立西洋美術館へ行く予定があるなら。彫刻の前で「有名なのは分かるけど、どこを見よう」と迷ったとき、試してほしい見方があります。
《地獄の門》の上部中央にいる《考える人》を探して、独立した《考える人(拡大作)》との関係を知ること。 一つの像だけでなく、門全体とのつながりへ目を向けられます。
知っているあの姿が、こんな大きな作品の中にも。
そこから見始めてみよう!
門全体を見てから、上部の人物へ
国立西洋美術館の解説によると、《地獄の門》は1880年、パリに建設予定だった装飾美術館の入口のために依頼された作品です。ロダンはダンテの『神曲』を手がかりに構想を進めました。
ただし、実際の入口として使われた門ではありません。ロダンが生きている間には、ブロンズにも鋳造されませんでした。ブロンズは青銅のことで、鋳造は型へ溶かした金属を流して形を作る方法です。
扉に見えるからといって、どこかで開け閉めされていた実用品とは限らないんですね。
館の紹介する寸法は高さ540cm(センチメートル)、つまり5.4m(メートル)。まず全体を見て、そのあと上部中央の、座っている人物へ視線を移す。全部の人物名を一度に覚えるより、目を向ける場所を一つ決めるほうが始めやすくありませんか。
別の《考える人》を見たら、姿と大きさを比べる
同館所蔵の《考える人(拡大作)》は、高さ186cm。作品名の「拡大作」は、もとの像を大きくした作品を示します。
《地獄の門》の中では周りの人物と一緒に見る姿が、独立した像では一人の全身として現れる。どちらから見始めたかで、気になるところが変わるかもしれません。
たとえば、門の人物を先に見たなら、独立像では手足の置き方や背中まで追ってみる。正解の感想を当てる必要はなく、「さっきより、ここに目が向く」と自分の視線をたどってみてね。
当日の鑑賞範囲や展示状況は、訪問前に美術館の最新案内で確認してください。写真撮影の可否も現地の案内に従いましょう。
作った人の言葉を、本でも読んでみたいなら
作品を見たあと、ロダンの考えにも触れてみたいなら、高村光太郎編・訳の『ロダンの言葉 現代日本の翻訳』(講談社文芸文庫)という選択があります。
ロダンが書き残したものや、話した内容を記録した文章を読める本です。見学用の館内ガイドや、絵・写真を中心にした本が欲しい場合には、購入前に内容を確かめてください。
ここで紹介する楽天掲載は中古本です。本の識別番号ISBNは9784061984776。同じ題材の『ロダンの言葉抄』などと取り違えず、状態も見て選んでね。
まず現地では、門の上の一人から。作品名だけ知っていた彫刻に、もう一つ見る場所が増えますよ。