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旅行や出張の荷物に、モバイルバッテリーを入れている人は多いですよね。地図アプリや電子チケット、写真撮影でスマートフォンの電池はあっという間に減るので、旅先では手放せない道具のひとつです。ところが2026年4月24日から、飛行機にモバイルバッテリーを持ち込むときのルールが大きく変わりました。
この記事では、新しいルールを順に紹介します。何個まで持ち込めるのか、自分のバッテリーのWh(ワット時定格量)の確かめ方、機内での扱い方、海外の空港での違い、そして出発前の準備まで、旅の前に気になる順番で確認していきます。航空会社によってはさらに厳しいルールを設けている場合もあるので、最後は必ずご利用の航空会社の案内もあわせて確かめてくださいね。
モバイルバッテリーは飛行機に何個まで持ち込める?
まずは、いちばん多い疑問である「何個まで」「どの大きさまで」から確認しましょう。2026年4月の変更は、国際的な基準の改訂を受けたものです。変更の経緯と、そもそもモバイルバッテリーとして扱われる物の範囲を順番に見ていきます。
1人2個・160Wh以下になった経緯
国土交通省が2026年4月14日に出した報道発表によると、モバイルバッテリーの機内持ち込みに、次の3つのルールが新しく加わりました。機内に持ち込めるモバイルバッテリーは1人2個まで(160Wh以下に限る)、機内でモバイルバッテリーへの充電をしないこと、機内でモバイルバッテリーから他の電子機器へ充電をしないこと。適用が始まったのは、2026年4月24日(金)です。
背景にあるのは、世界的に増えている機内でのリチウム電池の発煙・発火です。国際民間航空機関(ICAO)では対策が検討されていて、国際基準の緊急改訂案がICAO理事会で審議され、2026年3月27日(現地時間)に承認、即日適用されました。日本の国土交通省は2月27日から意見公募を行っていましたが、この緊急改訂を受けて、航空法施行規則にもとづく告示などを改正し、国際基準にそろえた形です。
これまでとの違いで大きいのは、個数の上限ですね。韓国の国土交通部の発表では、従来の国際基準には、一般の人がいちばん多く使う100Wh以下のモバイルバッテリーについて個数の制限がなかったと説明されています。小さめのバッテリーを3個、4個と持ち歩いていた人は、今は2個に絞らないと飛行機に乗れません。Xでも「機内持ち込みが2個になったのはかなり痛い」という声が見られます(Xの投稿)。
実は、日本ではこの変更の前、2025年7月8日からも段階的に対策が進んでいました。中部国際空港(セントレア)の案内によると、このとき国土交通省の方針にもとづいて、モバイルバッテリーを座席上の収納棚に入れないこと、モバイルバッテリーで充電する場合や機内電源からモバイルバッテリーを充電する場合は常に目の届く場所で行うこと、という2つのルールが設けられています。2026年4月の改正では、その「目の届く場所での充電」そのものをやめる方向へ、さらに一歩進んだことになります。
JALの案内には、国際航空運送協会(IATA)の規定変更により、2027年1月以降は100Whに制限される可能性があるという注記も添えられていました。ルールはまだ動いている途中なので、今持っているバッテリーが使えるかどうかは、旅行のたびに確かめる習慣をつけておくと安心でしょう。
預け入れは禁止。モバイルバッテリーの範囲は?
もうひとつ大事なのが、モバイルバッテリーはスーツケースに入れて預けられないという点です。これは今回の改正より前からのルールで、国土交通省の案内でも「預け入れ手荷物に入れないで!」と最初に書かれています。政府広報オンラインによると、衝撃や損傷が原因の熱暴走で発火するおそれがあるため、必ず機内に持ち込むこととされています。貨物室で発火すると気づくのが遅れますが、客室なら乗務員がすぐに対応できる、という考え方ですね。
では、どんな物が「モバイルバッテリー」に当たるのでしょうか。JALの案内では、リチウムイオン電池を内蔵し、他の電子機器を充電することを目的とする物を指すと説明されています。国土交通省のポスターも、モバイルバッテリーを「リチウムイオン電池を内蔵するもの」「他の電子機器を充電する目的のもの」と定義し、デジタルカメラなどの予備バッテリーや、電子機器から取り外した電池は「予備の電池」として別に扱っているのが特徴です。
予備の電池の個数は、モバイルバッテリーとは別の表で決まっています。政府広報オンラインの表では、100Wh以下の予備の電池は個数制限なし、100Whを超え160Wh以下は2個まで(100Whを超えるモバイルバッテリーを持ち込む場合は、それと合わせて2個まで)、160Whを超えるものは持ち込めません。カメラ好きの人が予備電池を何本も持っていく場合は、モバイルバッテリーの2個とは別に数えられるわけです。
一方、スマートフォンやノートパソコン、ワイヤレスイヤホン、電気シェーバーのように、電池が機器に内蔵されている製品は扱いが異なるので、分けて覚えておきましょう。こちらは機内持ち込みも預け入れもでき、預ける場合は電源を完全に切り(スリープ状態は不可)、ケースや衣類で保護したうえで、固いスーツケースに入れるよう案内されています。ワイヤレスイヤホンを預ける場合は、リチウムイオン電池なら2.7Wh以下に限るという条件もあります。
電子たばこも、モバイルバッテリーと同じく預け入れはできず、機内での充電も禁止です。旅行の荷造りでは、「電池が取り外せる物」「充電するための物」は手荷物へ、と覚えておくと迷いにくいですよ。
自分のバッテリーは持ち込める?Whの確かめ方
ルールの「160Wh以下」と言われても、手元のバッテリーには「10000mAh」のような表示しかない、という人がほとんどだと思います。ここでは、表示からWhを計算する方法と、100Whを超えるバッテリーや予備電池を組み合わせて持つときの数え方を確認しましょう。
mAhの表示からWhを計算する方法
Wh(ワット時定格量)は、電池がためられる電気の量を表す数字です。国土交通省の案内によると、定格容量がmAhで書かれている場合は、「ワット時定格量(Wh)=定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000」で計算できます。定格容量がAhなら、「定格容量(Ah)×定格電圧(V)」です。
国土交通省のポスターには、定格容量27,000mAh、定格電圧3.7Vのバッテリーの例が載っていて、計算すると99.9Whになります。27,000×3.7÷1,000=99.9という計算ですね。よく見かける10,000mAhで定格電圧3.7Vのバッテリーなら37Wh、20,000mAhなら74Whです。同じ3.7Vで160Whに当たる容量を逆算すると約43,000mAhで、韓国の国土交通部の発表でも160Whが「4万3000mAh」と併記されています。
ここで気をつけたいのが、どの電圧を使うかという点です。バッテリーの本体には、USBの出力として「5V」「9V」などの数字も書かれていることが多いですよね。計算には出力の電圧ではなく、電池そのものの「定格電圧」を使いましょう。多くのリチウムイオン電池では3.6〜3.85V前後の値が書かれていて、ラベルの「定格容量」と並んで表示されているはずです。
もし本体にWhも定格電圧も見当たらない場合は、少し注意が必要です。JALの案内では、Wh数が確認できない場合は輸送の可否を判断できないため、輸送できないとされています。政府広報オンラインも、製品によってはワット時定格量の表示がない場合があるため、事前にメーカーに確認しておけば安心だと呼びかけています。表示がこすれて読めなくなっている古いバッテリーは、旅行用から外しておくのもひとつの方法です。
計算した結果は、バッテリーの裏にシールで貼っておくと便利です。保安検査で聞かれたときにすぐ答えられますし、旅行の前に「これは何Whだったかな」と迷う時間も減らせるでしょう。購入するときは、商品ページや本体にWhがはっきり書かれている製品を選ぶと、旅行のたびに計算する手間がかかりません。
電圧の読み違いで結果が変わる例も計算しておきます。定格容量26,800mAhのバッテリーなら、3.6Vで計算すると96.48Whで100Wh以下ですが、3.85Vなら103.18Whとなり100Whを超えます。同じ容量でも電圧によって持ち込みの区分が変わることがあるので、ラベルの定格電圧は必ず確かめましょう。
100Wh超のバッテリーと予備電池の組み合わせ
ノートパソコンを充電できる大容量のバッテリーは、100Whを超えることがあります。国土交通省のポスターでは、100Wh超〜160Wh以下のモバイルバッテリーを持つ場合に、予備の電池が何個まで持ち込めるかを、3つのパターンで説明しています。
1つ目は、100Wh以下のモバイルバッテリーを2個持つ場合です。このときは、100Wh以下の予備の電池は個数制限なし、100Wh超〜160Wh以下の予備の電池は2個まで持ち込めます。2つ目は、100Wh超〜160Wh以下のモバイルバッテリーを2個持つ場合。100Wh以下の予備の電池は個数制限なしですが、100Wh超〜160Wh以下の予備の電池は持ち込めません。3つ目は、100Wh以下と100Wh超〜160Wh以下のモバイルバッテリーを1個ずつ持つ場合で、100Wh超〜160Wh以下の予備の電池は1個までになります。
つまり、100Whを超える電池は、モバイルバッテリーと予備の電池をあわせて2個までという考え方です。JALの案内でも、100Whを超え160Wh以下のものは、予備電池と合わせて2個まで持ち込み可能と書かれています。撮影機材の大きなバッテリーと、ノートパソコン用の大容量バッテリーを両方持っていく人は、この合計の数に気をつけてくださいね。
なお、航空会社によっては、100Whを超えるバッテリーの持ち込みに事前の承認や申告を求めている場合があります。韓国の空港での案内を紹介するXの投稿でも、100〜160Whは航空会社の承認が必要と書かれています(Xの投稿)。国内線か国際線か、どの航空会社かで手続きが変わることがあるので、大容量のバッテリーを持つ人ほど早めに確認しておくのがおすすめです。
先ほど触れたとおり、2027年1月以降はIATAの規定変更で100Whに制限される可能性があります。航空危険物の訓練会社NCA Japanが2026年9月にまとめたIATA危険物規則書第68版(2027年)の変更点の資料では、100Whを超えるモバイルバッテリーが持ち込み禁止品に加えられ、100Wh以下のものは最大2個まで、という内容です。これから大容量のバッテリーを買うなら、100Wh以下に収まる製品を選んでおくと、来年以降も使い続けやすいでしょう。
機内ではどう扱う?充電と置き場所のルール
持ち込めたとしても、機内での扱い方にも決まりがあります。国土交通省のポスターには、7つのお願いがまとめられています。そのうち機内で特に気をつけたい「充電」と「置き場所」のルールを、理由と一緒に見ていきましょう。
機内でバッテリーを充電・給電しない
国土交通省のポスターに並んでいる7項目は、預け入れ禁止、160Whまで、ショートしないよう個々に保護、収納棚に入れない、2個まで、機内で充電しない、機内で使用(電子機器への充電)しない、という内容です。このうち機内での扱いに関わるのが、6番目と7番目ですね。機内電源などからモバイルバッテリーへ充電することは禁止されていて、モバイルバッテリーから他の電子機器へ充電することもしないよう求められています。
では、長いフライトでスマートフォンの電池が減ったらどうすればよいのでしょうか。ポスターには、電子機器の充電は機内備え付けの電源からお願いします、と書かれています。座席にUSBポートやコンセントがある機体なら、そこからスマートフォンを直接充電すればよいわけです。一方で、座席に電源がない機体もあるので、搭乗前にスマートフォンを満充電にしておくことが、いちばん確実な対策になります。
ポスターの注記によると、7項目のうち1〜3番と5・6番に違反した場合は、航空法により罰則が科される可能性があります。収納棚に入れない(4番)と、電子機器への充電をしない(7番)は罰則の対象としては挙げられていませんが、乗務員の指示には従う必要がありますし、守るべきルールであることに変わりはありません。ANAの案内でも、モバイルバッテリーから電子機器への充電は「お控えください」と書かれています。
国際的な規則では、この点がもう少し細かく決められていく見込みです。NCA Japanの資料によると、IATA危険物規則書第68版では、地上走行中や離着陸中、乗務員の指示があったときには携帯用電子機器の充電にモバイルバッテリーを使ってはならず、それ以外の機内でも他の電子機器を充電すべきではない、という記載が加わったとのこと。航空会社ごとにさらに厳しい運用をしている場合もあるので、機内アナウンスや案内にあわせるのが安心です。
旅のスケジュールを考えると、到着してすぐ地図アプリや配車アプリを使いたい場面は多いですよね。機内でバッテリーから充電できないぶん、空港の待ち時間に充電スポットを使ったり、到着後に使う分のバッテリーを残しておいたりと、地上での充電計画を立てておくと慌てずにすみます。
収納棚に入れず手元に置き、ショートを防ぐ
モバイルバッテリーを座席上の収納棚に入れてはいけない理由は、異常にすぐ気づけるようにするためです。政府広報オンラインでは、万一機内で加熱、膨張、発煙、発火した場合はすぐに客室乗務員へ連絡すること、そのためにも座席ポケットなど必ず手元で保管すること、と説明されています。頭上の棚の中で煙が出ても、扉を閉めていると気づくのが遅れてしまいますよね。
手元に置くといっても、置き方にも注意が要り、国土交通省は、ショートを防ぐために、端子に絶縁テープを貼る、ケースや収納袋に入れる、複数のバッテリーや金属品と同じ袋に入れない、といった方法を挙げています。JALの案内でも、購入時の小売り容器に収納するか、テープでむき出しの端子を保護する、別々のプラスチックの袋や保護パウチに個々の電池を入れるなどの方法が紹介されています。
特に気をつけたいのが、鍵や小銭と一緒にポーチへ入れてしまうことです。端子に金属が触れると、ショートして発熱するおそれがあります。ケーブルをつないだまま入れておくと、端子部分に力がかかりやすいので、外してからしまうのが安心でしょう。
NITEのチェックリストには、普段の持ち歩き方のヒントもあります。落下などの強い衝撃や圧力を加えない、かばんの中で上や近くに硬い物や重い物を置かない、ズボンの後ろポケットになるべく入れない(座ったときに折れ曲がる可能性がある)、といった点です。機内では座席の背もたれを倒したりテーブルを出したりするので、座席ポケットに入れたバッテリーが押しつぶされないよう、出し入れのたびに確認しておくと安心ですね。
もし機内でバッテリーが熱くなったり、膨らんだり、焦げたにおいがしたりしたら、自分で何とかしようとせず、すぐに客室乗務員に知らせましょう。NITEのチェックリストでは、異常の例として、充電できない、不意に電源が切れる、充電中に以前より異常に熱くなる、膨らんで変形している、焦げたにおいや化学薬品のようなにおいがする、落としたりぶつけたりして一部が変形や破損している、といった状態が挙げられていました。
旅行中は、空港の床に落としたり、スーツケースの重みで押されたりと、普段より衝撃を受けやすい場面が続きます。搭乗前の待ち時間に一度バッテリーを取り出して、膨らみや傷がないかを見ておくと、機内で不安を感じずにすむでしょう。
海外の空港や航空会社ではルールが違う?
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今回の変更は国際基準の改訂を受けたものなので、多くの国で同じ方向のルールが広がっています。ただ、国や航空会社によっては、日本とは別の条件が加わっている場合もあります。日本からの旅行先として人気の韓国と中国を例に確認しておきましょう。
韓国は4月20日から同じ2個ルールに
韓国の政府広報サイト「政策ブリーフィング」が2026年4月8日に伝えた国土交通部の発表によると、韓国では4月20日から、モバイルバッテリーは1人2個まで(160Wh以下)しか旅客機に持ち込めなくなり、機内での充電と使用が全面的に禁止されました。160Whを超えるバッテリーは、個数にかかわらず持ち込めません。日本の適用開始(4月24日)より、少しだけ早かったことになります。
この発表では、ルールが変わった背景も説明されています。韓国政府は、2025年1月に起きたエアプサンの火災事故をきっかけに、モバイルバッテリーの持ち込み個数の制限や、機内での充電と棚への保管の禁止などの安全対策を進めてきました。そのうえで、国や航空会社ごとにルールが違うと国際線の利用者が混乱するとして、ICAOに安全管理の強化を提案し、それが国際基準として採用された、という経緯です。それまで韓国国内では100Wh以下のバッテリーを1人5個までに制限していましたが、新しい国際基準にあわせて2個までになりました。
日本から韓国へ行く場合も、韓国から日本へ帰る場合も、基本の「2個まで・160Wh以下・機内で充電しない」は同じだと考えてよさそうです。Xでも、モバイルバッテリーは預け入れ手荷物に入れられず、機内持ち込みは基本的に2個までだと整理したうえで、航空会社の注意事項を確かめるよう呼びかける投稿が見られます(Xの投稿)。
韓国の航空会社の中には、国際基準の改訂より前から独自に厳しい運用を始めていたところもあります。政策ブリーフィングの記事には、済州航空が機内でのモバイルバッテリーの使用を全面禁止すると発表し、2026年1月に仁川空港の自社カウンターに案内を掲示していた様子の写真が添えられています。航空会社ごとのルールの差は小さくなりつつありますが、予約した航空会社の案内を最後に確認しておくのが確実です。
旅行の楽しみが詰まった韓国旅行でも、荷造りの段階でバッテリーを2個に絞っておけば、空港で慌てずにすみます。往復で同じ数を持ち帰ることになるので、現地で新しいバッテリーを買い足すと、帰りの便で個数オーバーになるおそれがある点も覚えておきたいですね。
中国国内線は3Cマークがないと持ち込めない
中国を旅行する人は、もうひとつ別のルールにも気をつけてください。在中国日本国大使館の案内(2025年6月27日)によると、中国民用航空局は2025年6月28日から、「3C認証」のロゴがない、またはロゴが鮮明でないモバイルバッテリーと、リコール対象となった型番のモバイルバッテリーについて、中国国内便への機内持ち込みを禁止しました。3C(CCC、China Compulsory Certification)とは中国の強制製品認証のことで、日本のPSEマークに相当するものです。
ここで大事なのは、対象が「中国の国内線」だという点です。大使館が当局に確認したところ、国際線を利用する場合は、3C認証のロゴがないモバイルバッテリーでも、引き続き機内に持ち込めるという説明があります。日本から上海へ飛ぶ便は国際線ですが、上海から北京や西安へ国内線で移動する旅程なら、日本で買ったバッテリーは3Cマークがないと持ち込めない可能性が高いわけです。
中国当局は、この措置について、乗客が持ち込んだリチウム電池製品が機内で発火したり煙を出したりする事故が多発したこと、大手メーカーがリコールを行ったことを踏まえたものだと説明しています。大使館の案内でも、各空港の保安検査部門に検査の強化が指示されているという記載です。
ただ、空港の現場では、表示が読み取りにくい製品や容量が確認できない製品が止められることもあると考えておいたほうがよいでしょう。容量やWhがはっきり印字された製品を選び、表示がかすれていないか事前に確かめておくのが安心です。
日本から中国の都市へ入り、そのまま国内線に乗り継ぐ旅程の人もいるでしょう。大使館の案内は国内便を対象としているので、乗り継ぎであっても国内線の区間ではこのルールの対象になると考えておくのが無難です。どの区間が国内線に当たるのかは、予約の確認書や航空券の便名で事前に確かめておくと、空港で慌てなくてすみます。
中国国内線を含む旅程なら、3Cマークのあるバッテリーを現地で用意する、国内線の区間は高速鉄道に切り替える、といった選択肢も考えられます。いずれにしても、出発前に利用する航空会社と、大使館などの最新の案内を確認しておきましょう。
出発前に準備しておきたいこと
端子の保護に使える絶縁テープを探す
耐火素材のバッテリー収納袋をチェックする
ルールを知っていても、荷造りのときに確認を忘れると、空港で困ることになります。最後に、手元のバッテリーが3個以上ある場合の考え方と、旅行中も含めて安全なバッテリーを選び、使うためのポイントを確認しておきましょう。
3個以上あるときと検査で止められたとき
家族や自分の持ち物を数えてみたら、バッテリーが3個以上あった、という人もいるかもしれません。ルールは1人当たり2個までなので、家族で旅行する場合はそれぞれが自分の分として2個まで持てますが、ひとりで3個以上を持ち込むことはできません。旅行前に容量や使い道を見比べて、持っていく2個を決めておくのがいちばん確実です。
では、空港の保安検査で止められてしまったらどうなるのでしょうか。政府広報オンラインは、手荷物検査で危険物とみなされるものが見つかった場合、空港のロッカーに預けるなどの時間がないときは、その場で放棄せざるを得なくなると説明しています。お気に入りのバッテリーを手放すことにならないよう、出発の前に数を確かめておきたいところです。
Xでは、2個しか持ち込めないのに3個持ってきてしまい、1個を430円払って自宅へ送り返した、という投稿も見られます(Xの投稿)。ただし、国土交通省のポスターには、持ち込みできなかったモバイルバッテリーなどは、宅配便などによる貨物としても航空輸送できない場合があると書かれています。送る場合は、宅配便などの運送事業者へ確実に申告したうえで、事業者の指示に従うよう求める内容です。陸路で運べる地域かどうかや、受け付けてもらえるかどうかは事業者によって異なるので、「送ればいい」と考えずに、家に置いていく判断を先にしておくのが安心ですね。
荷造りのときにおすすめなのが、モバイルバッテリーを入れる場所を一か所に決めておくことです。機内持ち込みのリュックの決まったポケットに2個だけ入れておけば、スーツケースに紛れ込むのを防げますし、保安検査でも取り出しやすくなります。旅行用のガジェットポーチを使う場合も、バッテリーと金属の小物は分けて入れておきましょう。
また、旅先で使うバッテリーは、満充電に近い状態で出発するのが便利です。機内では充電できないので、搭乗前に空港のラウンジや充電スポットで充電を済ませておくと、到着後もすぐに使えます。NITEのチェックリストでは、保管するときはなるべく満充電の状態を避けるようにとも書かれているので、旅行から帰ったら長期保管の前に取扱説明書を確認しておくとよいでしょう。
安全なバッテリーを選び、夏の車内に置かない
飛行機のルールが厳しくなった背景には、身近なところでの事故の増加もあります。NITEが2026年7月15日に発表した資料によると、2021年から2025年までの5年間にNITEに通知されたリチウムイオン電池搭載製品の事故は2,140件で、製品別ではモバイルバッテリーが506件と最も多くなっていました。モバイルバッテリーの事故は2021年の51件から2025年には192件へと3倍以上に増えていて、506件のうち488件は火災を伴っています。
事故が起きた状況を見ると、モバイルバッテリーの事故506件のうち297件が充電中(充電直後を含む)でした。事故件数は気温の上昇とともに増え、8月にピークを迎えるとのこと。NITEは、暑い日の自動車内に放置しないこと、かばんの中に入れている場合も含めて直射日光の当たる場所に置かないこと(窓際や砂浜、ベンチの上など)を呼びかけています。レンタカーで観光する旅行や、海辺でのんびり過ごす旅では、つい車内やビーチに置きっぱなしにしがちなので気をつけたいですね。
これからバッテリーを買い替えるなら、選び方も大切です。NITEのチェックリストでは、購入時に、リコール情報を確認する、ほかの類似製品と比べて極端に安くないか確認する、販売元の連絡先や日本語でのサポートが可能かを確認する、といった点が挙げられています。モバイルバッテリーは電気用品安全法の対象で、PSEマークが表示されているか、マークの近くに届出事業者名があるかも確認するよう書かれています。
リコール対象の製品にも注意が必要です。NITEの資料によると、リチウムイオン電池搭載製品の事故のうち、リコール対象製品によるものは5年間で453件ありました。NITEの検索サービス「NITE SAFE-Lite」や消費者庁のリコール情報サイトで、手持ちのバッテリーが対象になっていないかを調べられます。旅行の前に一度チェックしておけば、機内に持ち込むときの安心感も違ってくるはずです。
充電するときは、安全な場所で目の届くところで行い、外出中や就寝中の充電は避けるようにとNITEは呼びかけています。ホテルの部屋で寝ている間に充電したくなる場面もありますが、出かける前や部屋にいる時間に充電を済ませる習慣をつけておくと安心です。充電できない、急に残量がなくなる、以前より熱くなる、膨らんでいるといった異常に気づいたら、使うのをやめて販売店やメーカーに相談しましょう。
まとめ:飛行機に乗る前のモバイルバッテリー5つの確認
最後に、この記事で確認してきた内容を、出発前のチェックとして5つにまとめます。荷造りの最後に、ひとつずつ見直してみてください。
- モバイルバッテリーは1人2個まで、1個160Wh以下に限られ、スーツケースに入れて預けることはできない
- Whは「定格容量(mAh)×定格電圧(V)÷1,000」で計算し、表示が確認できない物は持ち込めない場合がある
- 機内ではバッテリーへの充電も、バッテリーからスマートフォンなどへの充電もせず、収納棚ではなく手元に置く
- 韓国は同じ2個ルール、中国国内線は3Cマークが必要など、行き先や航空会社によって条件が加わることがある
- 端子を保護して金属と分けて持ち、PSEマークやリコール情報を確認した製品を選んで、高温の場所に置かない
ルールは2027年に向けてまだ変わる可能性があります。旅行のたびにご利用の航空会社の案内を確認して、安心して空の旅を楽しんでくださいね。